「晴れた朝も雨の夜も」のあきこさんがくださった詩です。
「風の王国」を読んでくださって読後に紡ぎ出された言葉だそうです。嬉しいです感激です(T-T)
一番心に残ったのはカデルと母カデリーヌの和解のシーンとのことでした。
普通の単語があきこさんが綴ると暗い海の中をきらきら落ちてゆくみたいに感じられてうっとりです。
目にも心にも心地よいです･･･美しい場面が色々思い浮かぶのですが･･･それで描いてみたい のですが、
全然届かなさそうです。でも後ろに挿し絵を描いてしまいました。素敵な詩をありがとうございました！！

[深淵]

浮遊する私はそのとき
光を見たと確信したのです
それは網膜を僅かに傷めるような
微かな光でしかなかったのですが
それでも闇の中でその光は
他のどんなものより尊かったのです

長い間　私の魂は暗い悲しみの中に押し込まれ
声も出せず　息さえもままならず
苦しいと訴えることすら出来なかったのに
まるで魔法のように私は掬い上げられたのです
世界は一つの美でありました
そこに存在する私という自我は
そこに存在した花と同じく　優しいものであったのです

闇を貫く光を見たときに私は知ったのです
この魂の深淵に密かに復活の祝詞を上げた
私の母の緩やかな鼓動の端々には
一つの鍵が隠されていたことを
それは小さな楽園の鍵でした
蒼い空に似た海の底に永遠に沈む
美しい小さな翼の鍵でした